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■ 奇妙な学術倫理を語る人々

発端は、あるブログのコメント欄における議論である。

「墨香online論議とフォークロア」『Matimulog』:コメント欄 <http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2005/10/online_90a7.html#comments>

[標題の間違い修正;形式変更: 2005-11-23]

2番目のコメントにたいしてむけられた一連の批判のなかに、「大学のレポート」や「学術論文」についての珍説がちりばめられている。この問題に関する私の意見は、 2005-10-27 19:00 のコメント にかいたとおりである。

このエントリの主題について、特にいうべきことはない。また、学術研究の世界にたいして奇妙な先入観をもつ人というのもよくみかけるものであり、特におもしろい話でもない。おもしろいのは、それらの意見にたいして、きちんと訂正するコメントがよせられなかったことだ。おかしな意見が最初にでたのは 2005-10-22 14:28 15:14 のこと。それ以降、私がコメントするまでの5日あまりのあいだに176件のコメントがあるが、それらのなかに、学術研究のルールにてらしてどこがまちがっているかを説明するコメントはない (疑問を呈する内容のものはある)。このブログを運営しているのは現役の大学教員だということであるし、みている人のなかにも大学関係者や研究者はたくさんいるだろう。それにもかかわらずである。

結局、私はこの状況にたえきれず、コメントをかきこんでしまったのだが、それは薄氷をふむような作業であった。私は、学術倫理を専門に勉強したことはない。一研究者として、また一教員として、最低限必要な、とおりいっぺんのことを知っているにすぎない。たとえば、「なぜ人を殺めてはいけないのか」と問われたら、「刑法199条を読め」とこたえることくらいはできる。ところが、「なぜ剽窃してはいけないのか」と問われたら、ルール・ブックの存在をしめすことすらできないのだ。だから、私のコメントを理解した人から、その根拠についてつっこんだ質問がでてきたら、返答に窮するおそれが多分にあった。さいわい、実際には、焦点をはずしたコメントしかつかなかったので、根拠について説明を求められることもなく、議論が終息してしまった。(それだけに、そもそも、私の書いた内容が理解されたのかどうかも、よくわからないのだが。)

この事件をきっかけに、学術研究のルールとそれをささえる倫理について、きちんとしらべておくべきだと考えるようになった。学術研究の世界は閉鎖的である。だから、その外にいる人にゆがんだイメージをもたれるのは、あるていどはしかたないのかもしれない。しかし、目についたケースについては、できるかぎり修正して正しいイメージをもってもらえるようにすることが、学術研究に従事する者の責務だと思う。そのためには、自分自身が、整然と語ることのできる枠組みをもたないといけない。

ひとりでしらべるだけというのもやる気がでないので、しらべた成果を当ブログで紹介するつもりでいる。ただ、片手間にやることなので、たいして時間をかけられない。更新の頻度は、せいぜい1ヶ月に1度くらい(目標値)だろう。コメントやメールをいただいた場合も、返答はしないかもしれないし、返答する場合にも時間がかかると思う。気長におまちいただきたい。

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コメント

おっしゃるとおりですが、たとえば画像解析とか圧縮の論文で「アダルトビデオのモザイクの除去に関する画期的方法」というものがでてきたとしましょう。
アカデミックにはものすごい画期的技術だとしましょう。
しかし現実としては、ほぼそっちにしかニーズがないとしましょう。
この論文を通すかどうかは、指導教官の主観(ないし度胸や社会的対面)以外にないんじゃないですかね?

投稿: bold | 2005-11-25 10:15

先生のコメント、大変参考になりました。また、ぼくのブログで先生のコメントを紹介させて頂きましたが、参考になったという声も多かったです。大変ありがとうございました。

http://d.hatena.ne.jp/VanDykeParks2/20051027/1130425676

投稿: 音羽理史 | 2005-11-27 01:23

あ、ぼくは上記のコメント欄では「トニオ」という変名を使っていたものです。

蛇足ながら、2005-10-22 14:28のコメントはぼくのものなのでおそらく、間違いかと思います。
失礼しました。

投稿: 音羽理史 | 2005-11-27 01:28

bold さん:

そもそも論文を通すかどうかの判断はすべて「主観」によるものです。問題は、「どうしてだめなんですか」ときかれたときに理由をきちんと説明できるかということです。「前代未聞」とか「空気を読んで欲しい」とかいってみたところで、説明にはなっていないので。
bold さんの仮想例については、私はその方面にくわしくないもので、具体的に想像できないため、どのような理由をつけて却下できるか、確定的なことはいえません。とりあえず、可能性がありそうなところを考えていますが、つぎの3点について、おしえてくださるとありがたいです。

(1) 「アダルトビデオのモザイクの除去」は違法か
(2) 違法でないとしても、なにかの倫理基準にふれる行為か
(3) この研究を評価するには、指導する教員も大量の猥褻画像をみないといけないか

これらのどれかに該当するなら、却下する理由をひねりだすのはあまりむずかしくないと思いますよ。


音羽理史さん:
>2005-10-22 14:28のコメントはぼくのものなのでおそらく、間違いかと思います。

すみません。コメントの上側にある時刻のほうをうつしてしまったようです。訂正しておきました。

投稿: 田中 | 2005-11-30 19:54

ここって何のために存在しているんですか?

投稿: | 2005-12-29 16:55

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投稿: susannecg69 | 2019-11-24 21:43

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東北大の田中先生より、コメントでお知らせいただいた。 コメント欄があまりに下の方 [続きを読む]

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