« ■ gachapinfan様へ:質問と意見 | トップページ | ■ 暗算と検算 »

■ 「リテラシー」の出自

Apeman さんのところで、気になるコメントをみた。

自分が「普通」だと思い込まないことって、「メディア・リテラシー」に必要な条件だと思うんですが。

(2006.3.3) 「これが“愛・蔵太式メディア・リテラシー”ですか?」『Apes! Not Monkeys!』:コメント欄 <http://homepage.mac.com/biogon_21/iblog/B1604743443/C1534355107/E20060303105602/>

犯人は「リテラシー」ということば自体なのではないだろうか。

『Oxford Dictionary of English』によると、literate はつぎのような意味である。

[literate]

adjective

  • able to read and write.
  • having education or knowledge, typically in a specified area

noun

  • a litarate person

……

ORIGIN: late Middle English: from Latin litteratus, from littera (see LETTER)

Oxford University Press (2003) 『Oxford Dictionary of English: 2e』セイコーインスツル製電子辞書 SR-E10000 所収 (…… は引用者による省略)

Literate とは、文字を読んだり書いたりできる、ということであり、「教養のある(人)」(litteratus) もあらわす。

ここから派生したのが名詞 literacy である。

[literacy]

noun

  • [mass noun] the ability to read and write.
  • competence or knowledge in a specified area

ORIGIN: late 19th cent.: from LITERATE, on the pattern of illiteracy.

Oxford University Press (2003) 同上

文字を読んだり書いたりできるようになるというのは、音声・意味と文字との対応関係をおぼえるとか、書きことばの規則を習得するとかいうことだろう。学校などで教わる知識をそのままうけいれるということだ。そのために必要なのは、機械的な反復をとおして「体におぼえさせる」訓練である。まちがっても、「この先生が教えてくれることばは「普通」ではないのではないか」などとうたがう能力をそだてることではない!

Apeman さんが批判対象にしている人たちは、たぶんこちらの意味で「リテラシー」ということばを理解しているのだろう。つまり、対応関係さえおぼえてしまえば、あとはそれをあてはめればすむような類の知識である。私たちは、たとえば「徒然草」は「つれづれぐさ」と読む、というような「リテラシー」を、学校で教わって身につけてきた。それからの類推でいえば、「○○の報道は××と読むべきだ」(適当な語を代入されたい) みたいな紋切り型の知識が「リテラシー」と称されるのは、自然な流れではある。

これに対して、Apeman さんがいっているのは、たぶん「教養」という意味に近いのではないだろうか。たしかに、学校で教わったことを鵜呑みにするというのは、無教養な態度である。この流れでいえば、既存の知識に対するうたがいをもちつづけることが「リテラシー」の重要な要素であるという考えかたは理解できる。だが、それは「読み書き能力」という意味での「リテラシー」とは正反対の方向の能力である。

結局のところ、正反対のことをおなじことばであらわそうとするから混乱してるだけでは? すでに手遅れのような気もするけど。

|

« ■ gachapinfan様へ:質問と意見 | トップページ | ■ 暗算と検算 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■ 「リテラシー」の出自:

« ■ gachapinfan様へ:質問と意見 | トップページ | ■ 暗算と検算 »